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【準決勝レポート/ENEOS vs. トヨタ紡織】“初”と“46年連続”の経験値が生んだわずかさな差

2021年12月19日

いつもと同じプレーでも、どこか少し違っていたのかもしれない――。

「第88回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会ファイナルラウンド (以下、皇后杯)」、初の準決勝進出となったトヨタ紡織サンシャインラビッツは、9連覇を目指すENEOSサンフラワーズと対戦した。

しかし、試合は出だしからENEOS#10渡嘉敷来夢、#7林咲希らに立て続けにシュートを決められ、いきなりビハインドを負う。それでも第1クォーター終盤には追い上げを図り、4点差に詰めたのだが、第2クォーター中盤以降は常に10~15点前後の差を追いかける形となってしまった。

それでも、トヨタ紡織に追い付くチャンスがなかったわけではない。だが、流れを引き寄せることができそうな時に、(Wリーグの)リーグ戦では決めていたようなシュートが枠を捉えなかったり、ターンオーバーを犯してしまったりとリズムに乗れなかった。結局、最後は17点差での敗退。「(試合の)出だしで、自分たちのやろうとしていたプレーを冷静にできず、逆に相手にやりたいプレーをやられてしまいました」と#8東藤なな子は試合を振り返った。その東藤は、トヨタ紡織のエース。試合では、12得点を挙げたものの、前半でファウル4つとファウルトラブルに苦しんだ。

「リーグ戦とは違う緊張感があり、それを感じてしまいました。熱くなりながらも冷静にプレーしようと思っていましたが、逆に空回りしてしまいました」と東藤。初めて立った皇后杯の準決勝というステージでは、見えないプレッシャーや緊張からか、わずかにいつも通りのプレーをすることができなかったのだろう。

一方で「マークが厳しい中でも、個人的にはいつも通りにできました」と会見で力強く語ったのはENEOS渡嘉敷。試合では、渡嘉敷の21得点をはじめ、林が16得点、#11岡本彩也花が13得点をマークし、ここぞの場面でキャリアのある選手たちがしっかりと役割を果たした。

トヨタ紡織は、エースの東藤が21歳で、主力に20代前半が多い。そして再三挙げるように、チームとしては今回は初のベスト4入りだった。かたや、ENEOSは46年連続で準決勝に進出。30歳の渡嘉敷らベテランと言われるような選手もそろっている。

そういった意味では、準決勝の戦い方を知っていたENEOSに一日の長があったのかもしれない。

だが、準優勝のコートに立たなければ分からなかったことはある。「この舞台で戦う経験を積んだことは、スキルでもメンタルでも、いろんな意味で財産になるし、今後の糧になります。これを次につなげないと」とトヨタ紡織・知花武彦ヘッドコーチ。

皇后杯に新たな歴史を刻んだチームは、来年、さらに大きくなってこの舞台に帰ってくるだろう。

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